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IV 考察
今回指導案作成にあたって、まず「清潔」(全身清拭)について概念の統一を行い、学生像と患者像を設定した。それにより、具体的な方法の選択ができその後の討議をスムーズにさせたと考える。
最近の学生は社会的背景として家族は小人数であり、生活体験に乏しく主体性・自発性に未熟な面がみられ、自己中心的な行動を取りやすいと言われている。そこで、学生のレディネスを明確化することで、より一層学生をイメージすることができた。看護は計算された技術(アート)であると教えられた。私たちは、科学的看護をすること、患者の安全・安楽・健康回復につながると考えた。そして刻々と変化する患者の状況に応じて、看護婦も働きかけを変化させていくことの重要性を学生に学ばせるために、喘息患者で自ら清潔行為がとれない患者を設定した。
馬場口2)は、臨床実習指導者の目的は「明確な視点で対象がとらえられるよう学生のもっている能力を引き出し、統合、展開できるよう指導する。又、看護とは何かを考える場を与え、自己の看護観を築くための働きかけを行い、専門職としての意識、対人関係のあり方を学べるようにかかわる。」と述べている。この実習指導者講習会の演習を通して、実習指導とは、患者の安全・安楽を確保しながら、学生の知識・技術態度を統合し、患者にとって個別性をふまえた有効な看護が学べるようにすることであると考えた。また、看護のおもしろさ、すばらしさの発見の動機づけを行い看護観を育てていく手助けをすることではないかと感じた。
V おわりに
今回、実習指導案を作成するなかで、指導者は知識が豊富で看護実践力があり、優れた人格者であることが望ましいと思った。そして、教育観と看護観を備えておくことで、より良い指導ができることがわかった。今後、この気づきを大切にし学生に対し共に学ぶ姿勢で関わっていきたい。
引用・参考文献
1)鎌田ミツ子:看護学大系7 看護の方法「2」、P108、日本看護協会出版会、1991.
2)馬場口喜子:内科看護実習指導の手引き、P2、メヂカルフレンド社、1994.
3)畑中初恵ほか:月刊ナーシング。老人ケアマニアル、P44.学研、1992・4.
4)石川稔生ほか:呼吸器疾患患者の看護の看護診断とケア、医学書院、1990.

 

 

 

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